お家であるマンションに着くまでの間、二人とも無言だった。
気まずい中、エレベーターへ乗り込んだ時、隆尚さんが口を開いた。
「――今日、父さん達帰らないらしい。二人で出掛けるって…さっき連絡来てた。」
「そっか…」
―――二人居ないなんて、気まずいなぁ…。
家に着くと、隆尚さんの言うように家の中は真っ暗だった。
あ、ともちゃんに連絡しとかないと!
何も言わず帰っちゃって絶対心配しちゃうよね…
クラッチバッグからケータイを取り出して画面を見れば
ともちゃんからの着信が沢山あった。
それと、メールもすごい数になってた。
ともちゃん以外も、ともちゃんのお姉ちゃんとママからもメールが入ってた。
多分ママからは隆尚さん言った件だろう
「湊ちゃん、そこ座って。」
メールを返そうとしたら、隆尚さんにソファーに座るように指示された。
拒める雰囲気ではなくて、渋々ケータイの画面を落としてソファーに座った。
座ると、対面するように一人掛けのソファーに隆尚さんが座った。
「湊ちゃん、どうしてあんな所に?あんなとこで何をしてたの?」
「……」
少し、隆尚さんの雰囲気が怖くて、思わず黙ってしまった
「話してた男は誰?それに、君は未成年ってわかってる?あんな場所に居たら犯罪に巻き込まれる可能性だってある。もし何かあったらどうする気だったんだい?」
「そ、れは…」
言い返そうとしたとき、隆尚さんのケータイの着信音がリビングに響いた。