「ただの先輩じゃないことぐらい分かるに決まってるだろ?」


「…気づいてたなら言ってくれたらよかったじゃん」


「言えるかよ。元彼の影響で本が好きだとか、元彼のときにもおんなじこと言ってたとか、そんなんに嫉妬して何も考えずに本買ったとか!」


「お、同じこと?」


戸惑う笑はなんのことか分かっていないといった様子



「言ったんだろ。本は自分で買うって決めてるって。」


俺の言葉に思い出したかのようにはっとする彼女。やっぱ言ってんのかよ。目の前で肯定されると余計に腹が立つ。



「あ、なんで知ってっん!!」


腹が立ちすぎてその唇を噛む



「いた、何すっ」

うるさい口に蓋をする。どうせこいつは要らない情報までばら撒く。どれだけ付き合ってたかだとか、どこまでいっただとか死んでも聞きたくねー。


「んっ…」


いいたいこともいっぱいあって拒否したいはずなのに、促せばこいつは口を軽く開く


さっきの廊下でもそう。こいつはなんだかんだで従順で、


「せんせっ…戻ってく、ん」


このときが一番好かれてるって実感できる。



ああ、だからか。聞きたくないことは聞かないスタンスだから、こいつも言わないのか。


なんて自己分析しながらもキスはやめない



首筋をなぞってやれば漏れる声。触れ合った唇からその吐息を直接感じればいやおうなしに身体は反応する。


押し倒したい。けどさすがにここじゃな…




唇を離すと潤んだ瞳で笑が見つめてくる