記憶は残酷だ。

そう思う。

「行かなきゃ」


よくわからないけど、行かなければいけない気がした。

パジャマのまま家を出て、フラっと歩き出した。

覚えてないのに、確実に一歩ずつ歩いてる。

知らない町なのに、知ってるみたい。

上を見上げると、何かが飛んでいる。

「鳥」

フワッと浮かんだその言葉がなんだかとても綺麗だった。

「鳥っ」



ドンッ―


誰かと正面衝突。