画面の向こうでは、何やら3人が話し合っている。


そして修斗が、ボールから離れるように一歩後ろに下がった。


『高木選手は蹴らないんですかね?このコースは得意なんですが』


『そうですね~まあこの二人も、このコースは得意ですから。どうですかね?』


アナウンサーと解説の人も、そんな風な会話をしている。


「まだ修斗には、蹴らせてもらえないのかな?」


それでも負けている状況を考えれば、誰が蹴ってもゴールをしてくれたらそれで嬉しい。


そんな思いでテレビを見てると、審判のホイッスルが鳴らされた。


ゴール向かって左15メートル、一人の選手が深呼吸するみたいに息を吐く。


この選手が蹴るんだ、とそう思ったけど……。


その選手はボールを跨いだだけで、次の選手もボールに触ることなく斜めに走っただけ。


そして最終的にボールを蹴ったのは、修斗だった。


「修斗!」


真夜中だということも忘れて、大きな声で修斗の名前を叫ぶ。


鋭い軌道を描いたボールは、ゴールに向かって飛んでいく。