破壊者でもありながら、被害者でもある“彼女”は、姫だった。


ディスティナーの姫君。



そして、初めて知らされた、姫君の持ってしまった“力”。

姫君は、“選ばれた”のだ―――・・・。









――沈黙を破ったのは、彼女だった。

決意めいた口調で、いい募った。



「あぁ、充分だ。前例は、1つで充分。

あの国の存在を無かったものにするために、魔女や魔術師が、どれほど奔走したことか。


あの努力を、私は無にはしたくない。

不届き者は、誰であろうと、罪人だ。」



彼女の言葉に、彼とケンタウロスが力強く頷く。


少年は、首を傾げた。

「あのぅ、さっきから、何の話ですか?」


「「「子供は黙ってろ。」」」


「・・・・・・・はぁい・・・。」


ツンと可愛らしく唇を尖らせながらも、少年は黙った。

元来、素直で従順なのだ。






「で、どうする?やっぱり、見張るか?」

ケンタウロスが難しそうな顔をして聞く。