彼女の呟きは全てもっともなことであり、全員、黙り込んだ。



「情報が、少なすぎやしないか?」

ぼやいたのはケンタウロスだ。



「あぁ、少なすぎだろう。

だが、とにかくあの魔法は伝説。あの姫君は超極秘なんだ。


それに、そうでなくてはいけない理由は、もうすでに知っている。

前例は、1つで充分だ。」


彼はキッパリと言う。



少年以外の2人と1体は、1つの国の有様を思い出していた。

もう、この世には存在しないこととなっている国。


その国は、ディスティナーという名だった。

小さな島国。


だが、緑豊かで、自給自足の生活が容易にできる国だった。




しかし――



3年前。


全てが崩壊された。




緑は消え去り、砂漠となった。

建物の瓦礫の山ができ、血が散乱した地面。


そして、モノとなった人間達が、倒れていた―――。




その中で、力を使い尽くし、死んだように横たわっていた、唯一の生存者。