パタパタという羽音と共に、入ってきたのは先ほどのコウモリ。


《主さま、アスクさん!ケンタウロスのダレンさん、連れてきましたよぉ~》


ドアが開き、彼女の後ろに1体のケンタウロスが立った。


下半身は栗毛の馬。

上半身は半裸の男の体。

角張った顔に、クルクルの麦色の髪。

栗色の瞳は、人懐っこそうに、小さく丸い。


彼女と彼が20代前半なのに対し、ケンタウロスは30代後半といったところ。



ケンタウロスは実に愉快そうに、朗らかに言った。

「ハハハッ!ウェイの言う通り、2人共素直じゃないな。」


「・・・・・うるさい。」

彼はギロッとケンタウロスを睨む。


「・・・素直じゃないって・・・意味、解んない・・・・・」

彼女は困惑ぎみだ。



《あはっ。アレスさん、けっこう分かってないんですねぇ。かーわいい♪》


「なっ・・・///ウェイ!?」


可愛い発言に、顔を赤くさせる彼女。

そんな彼女を見て、彼は不機嫌そうに舌打ちした。



「ウェイ、お前、そんな事を言って、どうなるか分かっているんだろうな?」


《うわぁ!主様っ!?ただの軽口ですよぉ!?》


「・・・・・問答無用だ。

それにアレス、俺以外に赤い顔など、見せるな。」


《うえぁ!!!問答無用ってぇ・・・ひどいぃ~・・・・・》

「は?なんでお前に命令されなきゃいけないんだ。この私が!!!」