「入れ。」


静かな声が聞こえた。

低い、男の声だ。どこかひんやりとした気持ちにさせられる。


「・・・・・分かった。」

彼女は頷き、ドアを開けた。


そして、カーテンの締め切った暗い暗い館内に入り、ドアを閉めた・・・途端。



グイッと強い力で、腕を引っ張られた。


突然の事に、彼女は抵抗することができず、舌打ちをした。


(やられた!私としたことがっ!!!今からでも遅くはないはずだ。早く、攻撃を・・・・・・)


だが、そんなふうに思った直後、彼女のローブの襟元が裂かれた。


(クソッ!!!もう、手遅れか・・・・・)


諦めた時、彼女の首筋に鋭い痛みと快感が襲ってきた。



「んッ・・・・あぁッ・・・・・・」

彼女は色っぽい声を漏らす。



―――血を吸われる感覚―――



そして、痛みは去り、ペロッと首筋を舐められる。

快感はまだ、淡く残っていた。



しかし彼女はそんな快感に溺れることなく、すぐに自分を取り戻し、"彼"を睨んだ。



「バースッ!!!いつもいつも言っているだろう!?私の血を吸うなっ!!!」


裂かれた襟元を合わせ、間違えようの無い怒りを込めて、彼女はそう叫んだ。