その言葉を聞くが早いか、彼女は実に嫌そうに顔を歪めた。

そして一言。


「嫌だ。」


《えぇ~・・・。そんな断言しないでくださいよぉ~。僕、また苛められちゃうじゃないですかぁ。》


コウモリは実に哀れな声を出したが、彼女は冷たく、あっさりと言ってのけた。


「嫌なものは嫌だ。」


《でも、大事な話らしいですよぉ。》


「大事な話?」


ピクッと肩眉を上げた。

その小さな反応を嬉しそうに、コウモリは続けた。


《そうです、そうです。大事な話なんです。

なんでも、姫君についてのお話らしくてですねぇ・・・ケンタウロスさんも呼ぶんですよっ!》


「何っ!?姫君の話で、しかもケンタウロスも呼ぶだとっ!?
そういうことは早く言え!ウェイ!

私は行くぞ!!!」


《やったぁ!じゃ、早く行きましょぉ。》


「ん?今から行くのか?」


《そうですよぉ♪》


「ケンタウロスは、今から呼ぶんじゃないのか?」


《そうですよぉ。だから、アスクさんはお先に行っててください。主様も、ソレを望んでいます。》


「・・・・・・・・怪しいが、まぁ、いいだろう。
姫君のことは、話さねばなるまい。」


彼女はそう高をくくり、どこからともなく箒を取り出し、手に取った。