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午前7時――。
ほとんどの所で、日がさし、明るくなっていた。
しかし、この鬱葱とした森の中は、日の光は差さず、暗かった。
11月だが、木々は常緑樹らしく、深い緑の葉をたっぷりとつけている。
そんな森の中、一匹の黒猫が、颯爽と森の奥へと駆けていっていた。
(なんてことだ・・・・・。)
森の奥の奥・・・ある巨木の前で、黒猫は立ち止まる。
黒猫は黄色っぽい瞳を、スッと細め、さりげなく辺りを見る。
誰もいないことを確認した後、黒猫は目を閉じ、口の中で何かを唱えた。
途端――
シュルッと黒猫の体が渦巻いた・・・と思った次の瞬間には、黒猫のいた場所に、1人の女性が立っていた。
くるくるとした漆黒の髪。
白い肌に、赤い唇。
黄金の瞳は、猫のような可愛らしいつり目。
整った顔と、美しいスタイル。
一言で言えば、その女性は美女だ。