王女はクロードの言葉にふんわり笑った。

「クロードは優しいのですね。」


「なっ・・・!!!」


「大丈夫ですよ。軽んじられても、わたくしは平気です。」


「だ、だからっ・・・」


ごつごつした握りこぶしが、耐えられないというようにふるふる震えた。


「アンタが平気だろーと、俺が嫌なんだよっ!!!」



どっかん!とばかりに吐き出された言葉に王女はキョトンとし、クロードはハッ我に返った。

途端、彼はカーっと顔を赤く染め、あわあわと手を振り出した。


「あ、や、こ、これはっ・・・ち、違くてっ!」


「ぷっ・・・あははははっ」



王女はお腹を抱えて笑いだしてしまった。


「ず、ずいぶん久しぶりにクロードから『アンタ』ってよばれましたっ・・・」


「え?あ!す、すみませっ・・・」


「ふふっ・・・敬語無しで物を言われました。」


「あぁ!!!ほ、本当にすみまっ・・・」


「ふふふっ。得した気分です。」


「・・・は?」



ポカンとしたクロード近寄り、王女は笑った。
どことなく儚げに。


「昔みたいで、懐かしいなぁって元気が出ました。
ですが、忘れないでください。わたくしに価値は無いことを。」


「っ!」



クロードは目を見開き、ギリっと唇を噛み締めた。





「・・・忘れませんよ。保証はできませんが。」


「ふふ。クロードらしい答えですね。」


王女はそっと、片目を覆う黒い布に触れ、一瞬、かすかに目を伏せた。
が、すぐに目をあげ、クロードに明るく笑いかけた。