アスクはフッと口元を緩めた。

「案ずるな。私がそう簡単にどうにかなるわけないだろう。」


「で、ですがっ!その青年はあのエリス様に乗ってたって・・・!もしかしたら、エリス様から何か与えられているかもっ・・・。」


瞳を潤ませるルネイに、アスクは一つため息を吐いた。


「まったく・・・。
国王、少々待っていただきたい。」


「よかろう。」


アスクは国王の返事を聞くや否やルネイの方に駆け寄り、優しく、そのきれいな白い頭を撫でた。



「ルネイ、わたしの可愛い愛弟子よ。そんなに私は頼りなく見えるの?」


「そ、そんなことはっ・・・。」


「私は大丈夫。ね?」


「はい・・・。すみません。
アスク様、でも、気をつけてください、ね?」


「わかっている。」



柔らかく瞳を細め、アスクは最後にルネイの頭をもうひと撫でして、くるりとルネイに背を向けた。


「国王、待たせてすまない。」


「申し訳ありませんでした国王様。」


「よい。行くぞ。」


「ああ。ルネイ、行ってくる。」


「いってらっしゃい!アスク様、国王様。」





––––バタン

そうしてドアは閉められた。



白き魔女は潤んだ瞳をゴシゴシ手でこすって、シャンと背を伸ばした。


("準備"は完了。"始まり"は、今夜6時。
さあて、"お披露目"は上手くいくかしらね?)