有無を言わせぬ言い方と氷のような視線に気圧され、兵士は頷いた。

アスクは、ピリピリしているバースにまだ事は終わってないのだと言われたように思った。

・・・実際は全くの見当違いなのだが。



「よし、じゃあ私は先に行「姫は無事か?」」

アスクの声を遮った冷静な低い声に、この場の全員が背を伸ばした。

王の、声だった。




「最重要事項は姫の身体及び精神の安否。
その報告が無いとは言わぬだろう?」


あまりに感情の欠落した単調な声は、しかしその場の者をハッとさせる内容を紡いだ。

ルネイ、ホワイ、兵士を除いて。




「––––ご報告が遅れまして、申し訳ありません。
姫の安否は・・・・・・依然、わかっておりません。」



一瞬の静寂––––後。

会議室は動揺の声で溢れかえった。


アスクとバースは目を見開き、王はかすかに片眉を上げた。




「どういうことだ。」


ざわめきを制し、凛とした声で問うたのは王。

兵士は素早く片膝をつき左胸に右手を添えた"最敬礼"をとり、頭を下げて王に向けて言った。




「姫君と青年達は途中ではぐれたらしく、只今捜索中です。
必ずや––––早急に––––保護いたします!」


強い意志のこもった声。

王は静かに瞼を閉じ、数秒の後、その眼を開いた。




「わかった。
私もアスクと今からその"レオ"とやらに会いに行こう。」