兵士はドアを開けた瞬間目が合ったアスクの眼差しに、怯んだ。

黄金の瞳はあまりに真剣に、射抜くかのように兵士に向けられている。

喜びをあらわにした者達も、アスクの様子に口を閉ざし、会議室はシンとした静寂に包まれた。


アスクはふっ、と気を緩めたように口元をほころばした。

兵士はそのかすかな、妖艶で麗しい笑みにドキリとした。
今度は別の意味でアスクに釘付けだ。



「すまぬ。
まだろくに確認もせずに気を緩めてはならぬと己を戒めていたら、少々険しい顔をしてしまったらしい。」

困ったように眉尻を下げて、アスクは兵士の顔を覗き込むように見た。


「許してくれるか?」


「も、ももももちろんですっ!」


「ありがとう。
報告をよろしく頼む。」


にこっと笑顔で言われた兵士は、兵士ゆえに女に慣れてなどおらず、顔を赤く染めて、それでも「了解ですっ!」と声をあげた。



アスクはそんな兵士を見て、人知れず心を和ませた。

(報告ぐらいで緊張して赤くなって・・・ウブで可愛いな。)


もちろんアスクは、アスクと兵士のやり取りを射殺さんばかりに睨みつけていたバースのことなど気づかない。

幸か不幸か、兵士もアスクと報告のことで手一杯だったらしく気づかなかった。




「ごほんっ
では、改めましてご報告申し上げます。

茜色の髪の青年をウィレボの広場にて発見、捕獲致しました。

青年はレオと名乗り、姫を連れ去ったことをひたすら謝っておりました。

今は地下の牢屋に入っております。」