いや、もう物の顔がついてたり喋ったりするのには驚かないけども・・・。

ハンマーからにょきっと銀色の、鈍く光る腕と足が生えているのにもスルーするけど・・・。


なんか、デカくね?



かるーく2メートルは超えているだろう巨大なハンマーに、唖然とする。


もはやホラーじゃない?




「ゲン、お帰りゴン。」


「ただいまゲン。」


「遅かったカンね。」


「少し考え事をしていてゲン。」


「考え事カンか・・・。」


「大したこと無いゲン。

それより、お姫様、初めましてゲン。ゲンっていう、しがないげんのうゲン。」


「は、初めまして!あたしはリアです。」



げんのう・・・ハンマーじゃなかったんだ。

似てるけど、よく見たら確かにハンマーと違うとこあるな。




「敬語なんて、やめてゲン!敬ってもらう謂れは無いゲン!」


「あ、はい、じゃなくて、うん!」


体は大きいけど、態度は全然大きくない。

きちんとしたげんのうって感じがする。




「あ、それで、ここがリュニャ国って一体・・・」


「ん?何かおかしなことでも・・・って、あぁ、カンとゴン、説明する順序を間違えたゲンか。」


「へ?」


「あ、そうだったゴン。」


「あたいとしたことが、うっかりしてたカン。」



何何?どういうこと?


答えを求めてゲンを見れば、ゲンは申し訳なさそうに口を開いた。




「ゴンとカンが悪かったゲンね。

ここは“忘れられなかった世界”ーー君のいたところと、世界からして違うゲン。」