あ、笑顔、けっこう可愛い・・・じゃなくて!
なぜに爆笑⁉︎



「はは・・・なんだ、お前かよ。
変わってねぇなぁ。」

その声は、さっきまでと打って変わって、親しげで。


やっぱりーー

やっぱり、前にも会ったことあるの?



「見てくれが随分変わってたから、わからんかったよ。
久しぶりだなぁ、」


そこまで言って、老人はふと口をつぐんだ。

たぶん、あたしが困惑してるのがわかったんだと思う。


あたしは、自分の視線があっちにこっちに、ゆらゆら揺れているのがわかった。

でも、それを止めることはできなかった。

ゆらゆら、ゆらゆら。
揺れているのは、心もだから。
心に、止める余裕が、これっぽっちもないから。



じぃっと。
蒼灰色の瞳があたしの瞳を見つめた。
何かを探るように。


そして、ふっと、どこか物憂げに息を吐いた。


「あぁ、そうか。
あんたには、記憶が無いんだな。」

憂いを帯びた寂しげな笑みを浮かべて、老人は、労わりに満ちた、穏やかな声で言った。


なんでかわからないけれど、その声を聞いたら、鼻の奥がツンとした。
不意に、ぽろんと涙がこぼれた。