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「・・・・・・?」


酒屋を探し始めて数十分後くらい。

偶然通った出店前で、あたしは知らず知らずのうちに、足を止めていた。


世界の始まりからずっとここにいたかのような、古めかしい、汚れた店だ。

誰も、注意を払わない地味な店――。



だけど。

なんでか、引き寄せられた。


そのお店から、目が離せない。






「・・・・・・なんだ。ちゃんと許可は取ってるぞ。」


しわがれた不機嫌な声が聞こえて、ビクッとした。



「え・・・?」


目をパチクリさせていると、店の奥のほうから、白髪の老人が出てきた。

痩せた、小柄な老人だった。でも、背筋はしゃんと伸びている。


「だから、許可は取っていると言っているんだ。
変なものを取り扱ってるわけでもない。
誰にも迷惑はかけちゃいないぞ。」


「め、迷惑・・・?」


意味がわからなくて、ぽかんと聞けば、老人の眉間のしわが深くなった。

え、やだ。なんか怖くね?


「なんだ。不審な店だと疑っていたんじゃないのか。」


あ、そう思われてたのか・・・・・・って、えぇぇっ!?

「ち、違います違います!そんなんじゃないですよっ!」