ダッシュしたおかげか、いつもの倍は早く寝室に着いた。


――と、ここで私は異変に気付いた。



いつもの寝室。
変わらない寝室。

そんな風に見えた。


・・・・・・ただ一点を除いて。


そう。一点、違ったんだ。


だって、ベッドの上に、ちょこんと可愛らしい白猫が、行儀良く座っていたんだもん。



「・・・・・・なんで猫?」


というか、一体どこから入ってきたんだろう?


ここは城の最上階。確か、30階ぐらいじゃなかったっけ?

そんなとこにどうやって入ってきたんだろう?


下から上がってきたっていうのも考えられるけど・・・


シオは外部から何か入らせないようにしていて、万が一入ってきたとしても、それは昆虫ぐらいのもの。


これぐらいの猫が、入ってこれるとは思えない。


まぁ、だからあたし、実際に猫見るのは初めてなんだよね。

写真では見たことあったけど・・・



「・・・・・・可愛い・・・。」



白い毛はつやがあるのに、ふわふわしてそうで。

瞳は藍色で、ちょっぴり潤んでいるみたいに見える。


写真で見た猫よりも、数十倍可愛いと思える。


それが、実際に初めて見たからなのか、元々この猫が可愛いからなのかは、分からないけど。