「イクゥ?」
そう聞こえた瞬間、私はシーツを引っぺがされ、
顔だけ間抜けにあらわにされた
「…………ブハッ!!」
なっ、なによっ!
ほんわかとほてった顔と、ボサボサになっていたであろう私は笑い転げるユンファを見つめた
……………酷い…
そしてやたら恥ずかしい
ユンファなんて嫌いだ
完全に遊ばれてる……?
笑い収まらないユンファを見て、急に悲しくなってきた
すっかりその姿に、さっき起こった恥ずかしい場面が頭から消えさっていた
「…酷い」
私がまたシーツに顔を埋め
睨みながらユンファに言うと、
ニヤッと不敵な笑みを浮かべ、ユンファは私を見た
「続き、する?」
「…………!?」
頭から湯気が出そうなくらい、私はまた真っ赤になって
「…な、なな……」
言葉が出ないまま困惑していると
「打ち合わせの続き」
ニヤニヤとしながらそう言ったユンファに、
やられた!
とか一瞬考えた頭の片隅で、少し残念な気分になってしまった…
「……………」
そしてムカついた
私はモゾモゾと芋虫みたいに、枕元に吹き飛んでいたカットソーをつかみ取ると
サッと身体に装着した
乱れた髪のまんま、ベッドからはい出ると
「打ち合わせしよう」
まだピンクにツヤツヤとさせた頬のまま、
スタスタとユンファの横を通りすぎ、ソファに座った
「………」
そんな私の姿を黙ったまんまユンファは見つめ、
私の向かい側のソファに腰掛けた
………………何だこれ
何事もなかったかの様に、淡々と打ち合わせを済ませると、
私は資料を束ね、バックに詰め込んだ
「……じゃ、帰ります」
何だかムシャクシャして、ツンツンとした言い方をして立ち上がった
「……そう、じゃあ」
じゃあ?(怒)
さっきのは何!?
って、何度も聞きそうになったけど、
どうしてか口からその言葉を吐き出せなかった
だって、相手が相手だから
胸がチクチクして、
どうしていいのか判断できなかった
「…失礼します」
だんだんと今にも泣きそうになって来て、
何バカな事してんだ自分…と情けなくなる
引き止めようとしてくれるはずもなく
私は勢いでそのまま部屋を出てしまった
やばい……
泣く……………
必死に涙を堪えながら、私は小走りでエレベーターに乗り込んだ
途中、SPのお兄さんに挨拶もせず、
追いかけてくるはずもないユンファが
もしかして追いかけてくるかも…なんて、甘っちょろい期待を完全に打ち砕かれ
私は気が付けばホテルを後にしていた
タクシーを捕まえ、車に乗り込んだ瞬間
我慢していた涙が突然溢れ出してきて、
胸が苦しくて息ができなかった
もう何も考えられなくて、
声を殺して泣いた