そとの天気は快晴
私は、大量に睡眠を取ったはずのくせに
何だか疲れが残っていて、
左手を上げた
目の前にタクシーが止まって、身体を押し込む
荷物を傍らに起き、ゆっくりと動き出した景色に目を向ける
突然に動き出した自分の感情を押し込めながら、憧れが恋に変わらない様に、戒める
勘違いしちゃいけない
でも、素直に楽しんで喜んでいけない事なんだろうか
液晶テレビの中の架空の人間と例えてもおかしくない、遠い存在に急接近した
嫌な奴だと思っていたけど、そうでもない、と
接すれば接するだけ、株が下がるどころか上がっていく
第一印象が落ちた分だけ、その反動で、好感度が増して行く
私が一般人で、相手になんてならないのはわかってる
全く釣り合いが取れないのはわかってるけど、この例えようのない感情はどうすればいいんだろう
次に、冷静になって話せる自信もない
今ここで、仕事を断ってしまえば、
何もなかった事に出来る
この先の、自分の感情の暴走も、きっと食い止めることが出来る
私はそんなに器用なわけじゃない
でも、こんなにスピードを持った感情をコントロールする自信もない
優しい声、拗ねた声
不機嫌な態度とは裏腹に、ユンファの優しい対応が、私を混乱させる
………こんなの、恋に落ちない人なんて、いないでしょ……
そして、最悪なのは
既に結果がわかりきってるっていうトコロ
まず100%、相手にされないでしょ
恋するのは自由なわけだし、その相手が誰だろうと関係もない
でも、ほとんど確実に、この予感は惨敗するような気がする
相手はアーティストであって、周りには綺麗なヒトもたくさんいて、
もしかして彼女だっているかもしれないし、相手になんてされない
というか、ならないだろう
自分の事は自分でわかる
私が、今までにないくらい、知らない世界に足を踏み込もうとしていることが
現実と妄想の境目がないのに、妙なリアルが今
私を取り巻いている
嫌な奴でいてくれたらよかったのに
妙に優しいから、
そんな非の打ち所のないところ見せられたら、
ただでさえタイプなのに、
これ以上、深入りしたら普通の男の子に恋出来なくなっちゃうじゃんか
最初から諦めから入るのは良くないかもしれないけど、
そのくらいの保険つきじゃないと、単なる憧れで騒いでるだけじゃ、済まない気がする
自宅マンションに着き、ダラダラと階段を上がる
SOUTH、カッコイイし、性格いいし、
何だか妙なリーダーも、不器用そうだけど、
はぁあ………
どうしよう
これじゃあ、ファンと一緒じゃん
いや、今となってはファンと化してしまったんだけど
ニヤニヤしたり、ウダウダと呟きながら、部屋にたどり着くと、
ベッドに目掛けて飛び込んだ
なんかな~…
あれだけ眠ったくせに、私はまた睡魔に引きずり込まれていった