何とかタクシーを拾い、私は六本木に着いた



ユンファに電話をかけると、

「フロアまで来て

エレベーター前で待ってるから」


と、言われた



心臓がバクンバクンなって、やたらにドキドキする


あんなに嫌な奴だって思ってたのに、ドキドキする自分に腹が立つ




エレベーターに乗り込み、すぐにフロアに着いた


チンって音が鳴った瞬間、エレベーターの扉が開き、

真ん前にユンファが仁王立ちしていた



その威圧感に






……………怯んだ







「……こっち」


やっぱり何だか無愛想なユンファが、すぐに歩き出し、
エレベーターを降りた瞬間、両脇にいたSPが突然視界に入り、身体がビクンとなった




…………びっ……くりした……



「どうも、おはようございます…」


深くニット帽をかぶったまま、私はSPのお兄さんに会釈をして、先さきと歩くユンファについて歩いた



「……部屋、ソンミンと同じなんだけど」

ボソッと、聞こえるか聞こえないような小声でユンファが言った



「………へ?」




ソンミン?と?

別々じゃないんだ……




何故かがっかりとする私がいた





ユンファの後に続き、部屋へと入る


思ったよりも広くなくて、

SOUTHが泊まってるくらいだから、スイートかと思ってた…



なんて失礼な事を考えていると、



「あ!辻元さんだ!!」

無邪気な笑顔で私を見付けたソンミンが叫んだ



「お、おはようございます…」


…………う、うわ……



何だかめちゃくちゃ興奮してきた


ユンファは昼間と同じ格好だったから気が付かなかったけど、ソンミンはスエットをはいていて、上は普通のTシャツで


今にも寝ます


って格好だったから、

何か、こう、普段の姿に、ドキンとした





なんて思っていると、




「ええっ!?」


何の前触れもなしに、ユンファが上着を脱いで上半身裸になっていた




くぎ付けに固まる私



「…見んなよ」

ふて腐れた顔で言うユンファに



「ってか、先に言ってよ!」



もっと見たい!とは言えず、ニット帽で顔を覆った



隙間から見えないかな?(笑)




見えるはずもなく、ユンファの裸の残像が頭にこびりついて離れない



「アハハハ!辻元さん、強盗みたい!」

ソンミンの笑い声が聞こえる



「…………」


ちょっとウザいな、ソンミン





「やっぱり、兄さん~」


クスクスと笑うソンミンの言葉に、


「…………」


小声でユンファが何かを言い返していた



………何?韓国語?



小声な上に、韓国語だから何を話しているのかわからない



何言ってるの?



わからないなりに聞き耳をたてていると、ガバッと急に目の前が明るくなった



「もういい」


………!?

目の前で、部屋着に着替えたユンファが立っていて、思わず後ろに後ずさった




………心臓、止まるかと思った




「…………」

しかめっつらでユンファが私を睨んでいる



「………な、何……?」



何でそんなに電話と雰囲気全く違うのよ




「………別に」


そんな会話をしている私達の横を、ソンミンが通り抜けた



「皆にも言ってくる~」


陽気に部屋を出て行ったソンミンの後を追いかけ、ユンファも出ていこうとした



やった!
他のメンバーの素も見れる!



何て考えていると





ガチャッ…ガチャ


と、音がした








………………へ?








……………まさか、今……




テクテクと、スッキリとした顔で戻って来るユンファを呆然と眺めていると



「あいつら来たら、仕事出来ないだろ?」


ムスッとした顔でユンファがそう言った






………か、鍵、閉めた……






「みっ………!」


………室!?二人!?




「…………あ?」






いやいや、仕事って言ってはるやん