「こんばんは、美しいお嬢さん」
「こんばんは。男爵」
「今宵も金星《ヴィーナス》のように美しく輝いているね」
「ありがとう。兵隊さん」

 中でも一際目を引くのは、レースをふんだんにあしらわれた真っ赤なドレスを纏う少女の人形だった。彼女の繊細なウェーブのかかった細い金糸は、とても美しかったし、瞳は宝石のように蒼く輝いていた。

「今日はなにをして遊ぼう?」
「宝探しをしようよ。自分の宝物をひとつだけ隠して、それを見つけた人にあげるんだ」
「それはいいね!」
「しよう、しよう」