「……なんで」 「こっちに戻ってきたの。そしたら流がいるんだもん、びっくり」 昔と変わらずに俺を見る無邪気な笑顔に、思わず胸が締め付けられた。 忘れるはずだった。 穏やかな日常で、忘れていたはずだった。 捨てるはずだった。 なのに、いきなり現れた。 「流、わたしを待っていてくれたんでしょ?」 過去はそう簡単には俺を解放してはくれないみたいだ。