順調にアフレコが進み、今日の撮りを1話残すのみとなり
休憩に入ろうかという頃
三ツ井さんが慌てた様子で、スタジオへ入ってきた
録音ブースからもわかる、ガラスの向こうの三ツ井さんの慌てぶり…
監督に何か耳打ちして、二人してオレの顔を見た
ん? なんだ? 2人でなに、見てんだろう…
そして、三ツ井さんがオレを手招きした
ブースのドアを開け、三ツ井さんが出口の方を指さしたから
オレも一緒に向かった
階段を上がったところで、三ツ井さんがオレに振り返る…
「立川くん…マナカちゃんが病院運ばれた」
「えぇっ?!!」
マジかよ! 今朝、調子悪い様子なかったのに…
「三ツ井さん、オレ、抜けても大丈夫か?!」
「……あぁ、今日はなんとか大丈夫そうだ…けど、明日、昼までに戻ってほしい」
「わかった!」
自分の部屋へ行き、上下スウェットだったから、カットソーとジーンズに着替え
チェックシャツを羽織り、急いで玄関へ向かう途中、持っていた
スマホの画面を確認しようと電源ボタンを軽く押すと
電話のアイコンに⑥の数字
メールも入ってる
誰だ?
確認しようとするとスマホが震えた
「もしもし」
『ちょっと! 二郎ちゃん!(マサコは昔からオレのコト知ってるから本名で呼ぶ)
なんで、電話出ないのよっ!』
「マサコかよっ! 仕事中は出れねぇよ!マサコオレ、今急いでるんだよ!」
『マナカちゃんでしょっ?!』
「なんで、知ってんだよ?!」
『説明してるヒマないから! アンタ、こっち向かってんの?』
「まだ、合宿所出たばっかだ、もうすぐ駅つく」
合宿所からダッシュで駅に向かってる こんなに走るの何年ぶりだろう
『じゃ、何時の電車に乗るかメールして? こっちの駅で待ってるから 説明はそれからよ!』
「わかった マナカは、大丈夫なのか?!」
『大丈夫よ、バーバラたちが付いててくれてるから」
本当は、マナカは深刻な状態だった…
マサコが、オレを心配させまいと、少しのウソをついていたから