『あの…。このお店って…?』

「この店は、トランプ屋。
 オレは、親を継いだんだ。
 何か、この店の雰囲気に惹かれてね」

『私も…。最初は、
 ただ道に迷っただけだけど…。  
 このお店に入ったのは、すごく惹かれるモノがあったんです』

「ところで、帰り道分かる?」

忘れてた。帰れるかな…。

でも、帰るのが何か惜しかった。

サクさんともっと、話してみたいって思った。

「送るよ。分からないでしょ?」

そう言って、私を駅まで送ってくれた。

彼の名前は、

サクヤ。

またトランプ屋に行くって行ったら、

道覚えてるの?って言われた。

そしたら、メルアドを教えてくれた。

ただ道に迷って着いただけの、

ただのお客にここまでしてくれる、

サクヤさんの優しさが嬉しかった。