しかしクモシダバーは、まだスーパーマーケットに向かって糸を吐き続けた。
狙いがおれじゃない?
とまどいながら、様子を見ているうちに、スーパーマーケットの建物全体が、蜘蛛の巣で覆われ、真っ白になった。
「さあ、いく」
クモシダバーは、糸の端をつかむと、ぐん、と腕を振り上げた。
すると、信じられないことが起きた。
バキッ・・・・・・バキャバキャッ、バキャキャキャキャッ、バリィッ!
地面のアスファルト道路が、大きな音を立ててひび割れたかと思うと、糸に覆われたスーパーマーケット全体が、地面から剥がれ、空中に持ち上げられたのだ。
クモシダバーが、糸をひっぱって、スーパーマーケットを持ち上げたのだ。なんという強度の糸か。
バケモノだ。
あらためて、そう思った。
呆然と見上げていると、クモシダバーは糸をつかんだ腕を振り下ろした。
すると、スーパーマーケットは、おれから少し離れた所へ向かって落下していた。
そこには、少女がいた。
「しまった!」
クモシダバーの意図を察して、おれはすぐさま飛んだ。
そして少女の前に立つと、両腕をあげて、落ちてきたスーパーマーケットを受け止めた。