しゅううぅ・・・・・・
変身の際に発した高度の熱で、足元からわずかに煙が出ている。
おれは自分の身体を見た。
金属化した豆腐のアーマーが、頭から足の先にまで、おれの全身に備わっている。
「すげえ」
体内に力がみなぎるのが分かる。かゆみはない。TF細胞が、おれの身体と同調しているのだ。
そのときだ。
「お兄ちゃん!危ない!」
少女が叫んだ。
シダバーの毛だらけの怪物が、五体同時に飛びかかってきた。
おれは即座にかまえ、拳を握りしめた。
「・・・・・・はぁっ」
力をこめ、パンチを放つ。
ごおっ
突風が巻き起こった。
街路樹がしなり、木の葉が宙に散らばる。スーパーマーケットの窓が、びりびりと震える。
そして轟音が五つ。
その一発のパンチで、おれは五体のシダバーを全て吹き飛ばした。
五体のシダバーは高く舞い、げぇっとうめき声をあげて、次々と地面に落下していった。
他のシダバー達は、動揺し、あとずさった。その中の一体が、汚らしい声をあげた。
「オ・・・オマエハダレダ?・・・・・・ナニモノダッ!?」