「なっ・・・!!」

教室がざわつき始める。

すると、大柄な女の子は言った。

「いじめなんてくっだんねー事やってる奴って、まだいるんだな」

そう言いながら、床に転がっているいじめグループの一人を痛めつけ続ける。

「いっ・・・やめ、て・・・っ!!」

凄い痛そう、

でも彼女は止めない。

「・・・止めるわけねーじゃん。ぶっちゃけ、いじめって注意しても意味ないんだよね。だから、『いじめに効くのは痛み』だと、俺は思う」

「だからこうして『痛み』を与えてる」

「い、痛いっ、痛いよぉ・・・」

蹴られてる子は泣いている。

でも彼女は止めない。

「ちょ、ちょっと!!菜々子を離しなさいよっ!!!」

他の子達は助けようとする。

「いじめっ子って、よーするに『かまってチャン』なんだろ?だからかまってやってんじゃねーか」

「な、なによそれ!!」

みんな当然のように怒り出した。

「菜々子が死んじゃうじゃない!アンタ何考えてんの!?」

返事は返ってこない。

教室が静まり返り、暴力を振るう音だけが響いている。

すると、急に彼女が口を開いた。

「『給食の皿』と『人間』って似てるよね」

「両方とも、丁寧に扱えば長持ちする。でも粗末に扱えば・・・」

足で蹴る音が静まる。

「違うとこは、『給食の皿』を割れば先生に怒られる。けど、『人間』を粗末に扱ったら・・・」

彼女は再び不気味に笑う。

「制裁を加えるのは俺だってことだよ」

そう言い、もう意識が朦朧とし始めているその子の顔を、勢いよく踏みつけようとした。

「やっ、やめて・・・っ!!」

あと30㎝で顔に足が当たる・・・

あと10㎝・・・

あと5㎝・・・

その瞬間、私の体が無意識に動いた。

「やめてっ!!!」

私は彼女を抑えこむ。

「なっ!なにすんだ!!離せ、離せよっ!!」

私の口が勝手に動く。

「こんなのダメだよ!痛いことするなんて!!」

すると、私の手は振り払われた。

「なんで?お前が一番苦しかったんじゃねーのかよ!?なんでこんな奴かばうんだよ!!コイツらにいじめられてたんだろ!!?」

・・・そうだ。

そうだよ。

この子が言うとおり、私は彼女達にいじめられていた。

でも・・・

こんなのダメ・・・っ!!

「き、来てっ!!」

私は彼女を無理矢理引っ張って、

学校を後にした・・・