教室に戻り、席に座ると 奏太がすぐに戻ってきた。 あ、またこの香り。 すると後ろから私の肩を誰かが 指でつついてきた。 「なに?」 振り返ると、奏太だった。 「俺の演説どうだった?」 「別によかったよ」 「よかった?...それだけ!?」 「……うん」 「いつもより大人っぽかった―」 そう心の中でだけ囁く。