「新入生のみなさん、」 奏太の声は周りをシンとさせた。 いつもの教室にいる 奏太じゃないみたい。 壇上に立つ奏太は堂々としていて、 声なんかも大人っぽくしちゃって。 別世界の人みたい。 でも、奏太の声を聞いてると 落ち着いてくるんだ。 奏太の声に聞き入っていると、 いつの間にか壇上には誰もいなくて 教頭先生が閉式の言葉を 述べているところだった。 「3年生からの退場です」