「紗葉!大丈夫!?」
今まで後ろで黙って見守ってくれてた彼が駆け寄ってくれる。
「…あ、うん、全然大丈夫。」
「…ごめん。」
「なんで、謝るのよ。」
「だって、今まで無神経だった。」
「全然、気にしてないから。」
「なら、…よかった。」
そう言う彼に微笑めば、彼も微笑み返してくれる。
…もう涙は止まったみたい。
「立てる?」
差し出される手。
「うん、ありがと。」
彼の手に私の手を重ねれば、
ギュって握られて立つのを支えてくれた。
ごめんなさい、今不覚にも大きな手にキュンってきました。
女の子の方を向けば、いつの間にかさっきの私と同じように座り込んで泣いていた。
「ごめんなさいっ…、ごめんなさいっ…」
謝りながら涙を流す女の子。
その近くまで行って目線を合わせる。
「…命無駄になんてしたら私が呪う。」
「え、紗葉!?」
「冗談だよ。」
焦る彼に少し笑いを堪えながら言う。
「…もう少し頑張ってみようかな。」
私たちのやりとりに少し笑って空を見上げながら言う女の子。
「…そうしなよ。辛くなったら立ち止まっていいじゃん。泣いたっていいじゃん。あなたにはまた歩き出せる時間があるんだから。」
お互い涙目で見つめ合う。
「…ありがとう。」
女の子がそう言ったと同時に、
「紗葉ちゃん!?」
聞き慣れた声が耳に届いた。