バイクの男の人は昨日とおなじみたい。
あたしが、どのタイミングで話しかけようか迷っていると、男の人はあたしに気づいたようだ。
「あ、お前か。こんな早くにどーしたんだよ。お嬢様が危険だぞ。」
大丈夫です、とあたしは言ってから、男の人に近づいた。
「あの、これ…」
あたしは、銀色の指輪を男の人にさしだした。
握りしめていただからだろうか?
あたしの手には指輪の丸い痕がある。
「落ちてたんですけど…違いますか?」
それを見ると、男の人は目を見開いた。
「これ……俺がなくしたやつ…」
この指輪はこの男の人の物だったようだ。
「さんきゅー!」
その人は喜んで指輪を受け取った。
そして、あたしに近づいて、
「これ、お礼」
と、いい、苺味の飴をもらった。
「わぁ、ありがとうございます!」
男の人は、顔をあげてあたしを見た。
「別に…だいじょ…」
その時、2人の時間が止まった。