わかってた。けど、やっぱり間近で聞くとショックが大きい。
ガラッ
あたしは教室のドアを開けた。
3人は驚いたようにあたしを見た。
『歩香ちゃん?帰ったんじゃなかったの』
『忘れ物』
あたしはそれだけいうと、自分のロッカーへ歩いた。
『歩香ちゃん、盗み聞きは悪趣味だよ』
とくに悪びれる感じもなく、逆ににやにやしながら言ってくる3人。
『……なにも聞いてないよ。何か悪いことでも話していたの?』
あたしはあえて知らないフリをした。
この時は、大人だから。
こんな幼稚な奴らと一緒じゃないから。
そう思って知らないフリをした。
今思えば臆病だっただけかもだけど。