「もしかして、あの音って
やよいちゃん・・・?」


驚く楓さんに
私は頷く事しかできない。


「あーあ、もう・・・
伸治のバカが・・・
私の物まで壊されてないか
すごい不安なんだけど」


ため息をつきながら
時折聞こえる
何かをぶつけるような音を
不安気な表情で聞いている。


そして・・・・


楓さんの携帯が鳴り

慌てるように取ると


「はい・・・・」


小声で話し始めた。


「やよいちゃん、どうしたの?
うん、うん
伸治は・・仕事でしょ?うん
大丈夫よ。帰ってくるって。
うんうん、はいはい
私からも言っとくね。
はーい、じゃあね」



切ると同時に
携帯を握ったまま
大きくため息をつき
肩を落とすように うつむいた。


「ちなみに・・・居候ちゃんは
これから、あのバカと
どうしていくの?」


少し呆れたような表情で
楓さんが
私を見上げるように
顔を上げ、じっと見つめている。


「それは・・・・・っ」



言葉が何も出てこなかった。


ううん、出せなかった。