「あぁ・・・知ってる」


そう言いながらも
電話に出ようとしない。


一旦鳴り止んでは、
すぐまた
再び鳴り始める。


その繰り返しが
10分近く続いてる
この状況は・・・


電話の相手が誰なのか

だいたいの想像はつくけれど・・・



「出なくてもいいの・・?」


「あぁ・・・・」


・・・・・・・・


黒崎伸治の携帯が鳴り続ける中
私達は会話すらないまま
ただ、時間が過ぎていく。



そして・・・・


携帯をクッションの下へやると


「なぁ、希」


「うん?」


「何もしねぇから
抱きしめていい?」


「・・・へ!?」


「わり・・・ちょっとだけ・・」


そう言うと

私の体を引き寄せるように
優しく抱きしめ

耳元に黒崎伸治の吐息が聞こえる。