「あの・・・・
必要な時だけ頂くので・・
これ・・・・」


ごはんを食べながら
雑誌を読んでいるお姉さんに
さっきの財布を差し出した。


「何?」


睨みつけるように
私の顔を見上げている。



「いえ、あの財布・・・」


「希に預けるって言ったよね?」


「でも・・・」


「はぁ・・・もう・・・
あんた融通利かないんだから。
分かったってば。
じゃあ、置いとくから
買い物とか行く時は
勝手に持って行ってよ。
いちいち私に言わないでよ?
キレるからね?」


大きなため息をつき
少し怒ったように
財布を受け取ると
布団の上に投げた。


何だか・・・


お姉さんの怒るポイントが
いまいち、よく掴めない。



「そういえば、希さ?」


「はい」


「私の名前知ってる?」


たしか・・・・


「さやかさん・・・?」


「そっ、ちゃんと
名前で呼んでくれる?」


「へ?」


「別にさやかでもいいけど
希の性格上、敬語って事は
呼び捨てじゃ呼ばないでしょ?
まー、好きなように呼んで」


「はい・・・・」


鋭い洞察力だ・・・。