お兄さんが
目を離さず見ている方を見ると

まるでお人形のような
きれいな黒く長い髪に
まだ少し幼さの残る、
色白の女の子が立っている。


「優奈・・・・?」


驚いたような声のお兄さん。

もしかして
彼女なんだろうか・・

それなら、かなり
マズイ状況になってるんじゃ?



「久しぶり・・・」


「あぁ・・あ・・
こいつは、その違うから・・
勘違いすんな・・」


焦ったように、私を
女の子の前に出した。


「・・・別に
大輔が、誰といようが
私には・・・もう
関係ないから・・・」


「・・・そうか、
だよな・・・
あー、変な事言ってわりぃ・・・」


「・・・ううん。
忘れ物・・・あって
用事ついでに
取りに来たんだけど・・」


「あ、あぁ。
鍵・・・あんのか?」


「鍵・・・あ、ごめ・・
持ってきてないから
開けてもらってもいい?」


「あぁ。わり、
ちょっと鍵開けてくっから
ここで待っててもらっていいか?」


私に、そう言うと
部屋の方へ戻って行った。