やべぇ。
男の俺でも見惚れそう……。
羨ましい。
イケメンで、優しい笑顔で、医者なんて。
こんなにいい条件の男なんて。
……誰からも、必要とされる。
きっと、俺とは正反対の先生だ。
「じゃ、ここに座って」
「あ、はい」
その先生は、俺を、前にある椅子に座ってと促した。
まるい、ローラーがついた普通の椅子。
普通の診察用の椅子。
なのに。
先生の近くにあるせいか、キラキラした高価な椅子に見えてくる。
「ねぇ、君」
突然。
ずっと笑っていた先生の顔が、真顔に変わった。
俺が先生の顔をジッと見てしまったのがバレて、不快に思ったのだろうか。
ちょっと……怖ぇ……。
キレそうな顔……?
ヤバいかも、俺……。
「……はい……?」
ヤバイ。これは不快そう。
相当かも。
これぐらいでキレる先生なのか?
すると、今度はまた。
一瞬で、今までの真顔がウソだったように、最高級の笑顔に変わった。
「“ケーゴ”って呼んでもいいかな?」