ダメ。



もうダメ。もう戻れない。






何不自由なく、幸せな家族にはもう、戻れない。









あたしがこんな体である限り。









もう我慢できない。


ママもパパも、あたしなんかどうでもいいんだ。




ただお金ばっかりあたしにあげて、それで満足して。





何も考えていない。








何が「洋服や宝石が欲しいわよね」?



何が「最近買ってあげてないから怒ってるんでしょ」?







どういう神経して、そういうことを軽々しく言えるの?









あたしを理解してるふりして、何もわかってないくせに。



あたしをただの「道具」としてしか見てないくせに。






お金あげたら喜ぶ、ただの人形としか見てないくせに。












「えっ……!?ルイ!?違うの!?」








違うもなにも、全然違うから。






あたしの信じていたものを全部裏切ったママ。



最後の希望の、今の瞬間も。





全部全部、裏切ったママ。









虚偽。


あたしの信頼は、全て虚偽。









「もういい!出てく!もうみんな、大嫌い!」










あたしはまた、帰ってきたばっかりの家を飛び出そうと。



玄関のドアを、思いっきり開けた。









その時―――。