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「ただいま……」
本当のあたしの居場所じゃない、苦痛なあたしの家に着いた。
すると。
玄関で、あたしが来るのをずっと待っていたのは。
「ルイっ……!」
やっぱり。
「……ママ」
ママだった。
あたしのワガママを全部叶えてくれた人の中のひとり。
ホントは叱って欲しかった無茶なわがままを、叱るどころか笑って買ってくれた人。
普通よりお金持ちだってことは分かってる。
だって、嫌な顔一つせずに、何でも買ってくれたんだもん。
でも。
こんなふうに同情ばっかりして欲しいなんて思ったことない。
叱って欲しいよ。
学校のみんなだって、悪い時にはきっと親に叱られて。
そして善悪の違いが身について。
それから、伸び伸びと、社会に踏み出していくんだから。
でもママはあたしを叱ったことなんて、1度もないよね。
全部、ダメなこともわがままも、笑顔で受け入れてくれたんだから。
昔はもちろん、嬉しかったよ。
小学生の頃は、いろんな可愛いものをたくさん持ってて、クラスのみんなに自慢してた。
いろんな可愛い女の子達に「いいな~」って言われて、嬉しかった。
鼻が高かった。
でもね。
今はわかるんだよ。お金の大事さが。