思いっきり、泣けばいい。 彼女をじっと見ていた、その時。 ものすごく強い風が、俺と彼女のそばを通り抜けた。 その、強風で。 ―――バタンッ! 「!」 思いっきり音を立て、ドアが閉まってしまったのだ。 気付かれないように見てたのに。 今の大きな音に気づかないやつは、きっとこの世に存在しない。 「嘘だろ……っ!」 追いかけられる前に、階段を急いで駆け下りた。 多分今までにはない早さだったと思う。 ――風が、冷たかった。