「先客かよ……」
またしてもツイてない。
人がいるってのに、屋上を楽しめるわけねぇじゃん。
今日はもう諦めて帰るか。
結構な落第感を味わった俺は、その屋上に背を向けた。
でも、その時。
あの女の声らしい声が、かすかに聞こえた。
一人だったのに。
ひとり言でも言ってんのか?
何故か、いつもは他人なんて興味がないのに、この女だけは気になった。
こんな広い屋上に、一人きりで。
パジャマ着てて。
どう考えても、普通のそのへんにいる女子高生とは違う気がする。
「……誰なんだよ」
背を向けかけてたドアにもう一度近づき、その女の様子を伺ってみる。