目的の、屋上につながる階段。
長い長い階段を上り切るのは、高校生の俺には、あまり苦でもなかった。
息が途切れてくる。
走りすぎたせいか、苦しくなってきた。
でもこの苦しさは、今までの苦しさとは比べ物にならない。
全然、我慢しようと思わなくたって、我慢できるレベル。
しばらく上ると、グレーのドアが見えた。
多分それが、屋上につながるドア。
「……やっと、ついた……っ」
無償の嬉しさと同時に、無償の達成感がこみ上げてくる。
大変なことを成し遂げたことなんて1度もないから、初めての感覚。
一番求めていた場所が、このドアを開けば、一瞬で見えてくる。
心の中で独りで飛び上がりながら、急いでドアノブに手を伸ばしかける。