医者のくせに無駄にイケメンで、優しくて、凄くモテるらしい。
実際、先生の笑顔のおかげで、あたしも安心して診察を受けに来れる。
それぐらい、先生の笑顔は、心が落ち着くんだ。
「はーい、心臓の音聞きまーす。洋服捲ってください」
いつものように、肩にかけた聴診器をゆっくり耳にして、あたしの心臓に当てる。
目の前に先生の顔があって、緊張してしまう。
先生の顔は、あたしの病状をすぐに表しちゃうから。
心臓がちょっとでもおかしかったら、すぐに顔が歪んでいくから。
聴診器を当てられた時、嫌でも見えてしまう先生の表情に、いつも緊張してしまう。
「ルイちゃん、最近の体調はどう?」
真顔のまま、先生はあたしに尋ねる。
「あ、うん。大丈夫。何ともないよ」
「それは良かった!じゃあ今から君のお母さんと2人で話したいから、ちょっと外で待っててくれる?」