思いっきり、玄関のドアを閉めてやった。
多分初めて、ママに反抗した。
部屋着のスウェットのまま、あたしは住宅街の道の中心に立っていた。
「あははっ……」
なぜか不思議と、爽快感。
今までのストレスが、少しだけ発散できた気がした。
たったこれだけで発散できるなんて、あたしって最高。
「さて。どこに行こっかなー」
初めての一人での外出。
いつも誰かがあたしのそばについててくれたから。
いつ倒れても、いいようにね。
……ははっ。
今更だけど、そう考えると笑えちゃうな。
教室にも、家のリビングにも、高価なものがたくさんあるあたしの部屋にも。
……居場所なんて、はじめっからなかった。
そんな簡単なことに今更気づいたなんて、鈍いなぁ、あたし。