信用できる身近な存在なんていない。
俺が信用できるのは……
唯一、希望があることは……
4つ下の、血の繋がった妹だ。
妹の名前すら知らない。
でも多分……愛称は、『なっちゃん』だったと思う。
何故なら。
小さいころ家に来ていたおばさんが、母親と話していたのを聞いたことがあるからだ。
『なっちゃん、元気ですか……?』
『もちろんよ……。元気に、育ってるわ……』
『ごめんなさい……私があの子を養子に出したせいで……』
そのあとは、俺が隠れて聞いていたことを気づかれて、おばさんはそそくさと帰っていった。
確かに……妹の話だった。
なっちゃん。
なっちゃん。
なっちゃん……。