――プルルルルル――♪
突然、ズボンのポケットに入っている携帯が、震えだした。
ゆっくりと手に取り、通話ボタンを押す。
「…もしもし」
そして、いつもの相手の声を聞いた瞬間。
『ケーゴ…?僕だけど』
俺は、もう一人ではないんだって。
実感できた。
家族ではないけれど、家族みたいな存在がいるから。
「内山先生」
『ケーゴ、今何してる?』
何してる…?
何してるの、俺?
そう、今。俺は―――
「んー
……実感してる」
内山先生。俺、あなたに会えてよかった。
『……?』
「先生。俺、先生のこと、すんげぇ尊敬してる」
『……ケーゴ?』
「めちゃくちゃ……信頼してて。尊敬してる」
『……』
「先生は俺の、憧れの存在だ」
うん。これは、本当。
初めて言えた。初めて言った。
いつも毒舌はいてばっかだから。