――茶色が混ざった黒髪の、ロングヘアー。
――高校生の女。
そして、見覚えのある――あの、横顔。
それは……
この前、学校の屋上で見た、あの女だった。
1人っきりで、屋上のど真ん中で泣いていた、あの女だったんだ。
「…嘘、だろ…?」
待てよ…。
頭の中が整理出来てない。
どういう事?
つーことは…俺たち、同じ学校って事?
つか、その前に――。
あの時パジャマみたいな、スウェットみたいな緩い格好をしてたのは…
「アイツ…入院してたんだ…」
病気で、ずっと家にいたってことか…
内山先生はそういや、心臓病って言ってたっけ。
だから……あんな……
―――――
―――
『あはは……屋上に、一人か……』
『うっ……うぇっ……』
『……死にたくっ……ない…っ…よっ……』
―――
―――――
……今、全てが理解できた。
俺、“ルイ”のこと、見たことある。
この前屋上で、一人ぼっちで泣いてた女。
俺と同じだと思っていた、あの女。
俺……最低だ。
アイツより全然俺のほうが幸せな方じゃん。
健康で生きていられるなんて、全然苦に思うことなんてないじゃん。
なのに――俺と同じとか…考えてて…
最低な男だ、俺は……。