どうしよう……。
悩んでいると、そんな俺を察した先生は、俺の方を向いていた体をまたテーブルの方に向き直して、伸びきったラーメンをまた啜り始めた。
「まあ別に、そんな固く考えることじゃないぞ」
「いや、改まって真顔で話し始めたのは先生の方だろ」
「ま…それはそうだけどさ……。とにかく考えとけ」
先生はバツが悪そうに、半分に分けたとんこつラーメンを、さっきの俺みたいに、思いっきり口に入れた。
その、さっきの俺と同じ光景を見たとき、ハッとした。
俺…今先生を、焦らせた?
焦ったから、急いでラーメンを食べ始めたのか…?
うわっ、すげえ!
初めてだ、こんなの!
いつも焦らされているのは俺の方だし!
こんな俺でも、先生を焦らすことができるのか!
さっきまでザワザワしていた胸の中も、このせいで、だんだんワクワクしてきた。
やっぱり、先生と居ると……楽しいや。
うん。これはもう、素直に言える。
先生は魔法の人間だ。
こんな孤独な俺を、こんな楽しい気持ちにさせてくれるなんて。