先生の、こういうとこ!
無性に腹が立つ!
諦めずに俺は、何度も何度も問いただした。
だって俺は、理由を聞かなきゃ――会っていいのか分からないから。
でも先生は、どうしても教えてくれなかった。
その代わり、意味深な言葉を残して――。
「……いや、あえてだ。あえて、言わない。」
「は……?」
「きっとお前も、会うと分かる。ああ、先生が言いたかったことはこれなんだなって」
「……?」
「いや、とにかく。お前は気にしなくていい。まずは、会ってくれないか」
……どうしよう。
会ってもいいのだろうか。
胸の奥がザワザワする。
俺みたいな人間が……生きようと頑張ってる“ルイ”っていうやつに、会ってもいいのか。
さっき1度で口の中に入れたとんこつの味が、未だに残ってるように。
1度名前を聞くと、頭の中から離れずに、残ってしまってる。
“笑沢ルイ”っていう、幸せそうな名前。
会ってみたい。
でも会ったら、彼女は、嫌な思いをするのではないか。
俺は“疫病神”だ。
母親からそう命名されたから。